国内政治が自民党の総裁選挙で盛り上がっていた9月、東京との電話連絡を頼りに、参議院の代表団として列国議会同盟(IPU)のWTOに関する議員会議出席のためメキシコ・カンクンに出張した。 結果は報道にもあるように、閣僚会議はまとまらず、「決裂」。米国・欧州・日本などの先進国間の対立だけでなく、先進国と途上国の対立も先鋭化しており、WTOという枠組み自体が複雑化していることを各国が改めて認識する結果となった。 農業分野では、日本の米などにかかる関税引き下げの問題が突きつけられるのを免れたため、ほっとする一部の向きもあったように感じるが、所詮これは問題の先送りに過ぎず、いま流行のFTAのような二国間であろうと、WTOのような多国間であろうと国際的な貿易交渉の枠組みが続く限りわが国にはつきまとう問題で、「農業」特に「米」についての基本認識を国の中枢において明確にしなければいけないとつくづく思った。
某経済誌に次のようなコメントがあった。「経済全体の1.5%に過ぎない農林水産業(農産物)への過剰な保護意識、時代遅れの農本主義が国益を損なっていないか」… 今の社会不安を考えるとき、わが国の国益は「国のおおもと」である農業を見つめ直し、経済至上主義に陥らない安全で安心な国を取り戻すことにある。まさに温故知新で、国内農業の構造改革を進めるとともに、大切なものは何としても守りきる「誇りある国」としての気概が必要だ。それは決して貿易立国としての日本の立場と相反するものではない。 「農本主義」… 農業・米はわが国の存立基盤であると主張することを私は決して間違っていないと思っている。パン食が増えたこととは別にして、主食である「米」をおろそかにする精神構造と、取り返しがつかないようにさえ見える社会情勢の悪化は無関係なものではないはずだ。 平成15年9月26日
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