かつとしコラム

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◆夏の終わりに… 三題ー(2)景観というもの

 東京は、ワシントンやロンドン・パリに比べて町並みが「醜い」といわれる。実際私もそう思う。なにせ、景観を巡るこれまでの我が国の規制としては、文化財保護法や都市計画法などバラバラで、総合的に美しい景観を意識した規制なり法律なりはなかった。一方で、路上にテーブルや椅子を並べるオープンカフェは「通行の邪魔になる」という理由で車道はもちろん歩道でも規制が厳しくほとんど認められて来なかった。梅雨など四季の変化が激しい日本に向くかどうかは別にして、屋外ならではの開放感を楽しむ人々の風景は町並みとして美しいものだ。「景観の問題は行政が責任を持って取り組むべき課題」という共通認識が浸透した諸外国(特にヨーロッパ)に比べ遅れをとっているわけだが、オープンカフェ問題は国土交通省が規制緩和の方針を打ち出しつつあるし、この通常国会では「美しい国づくり」を具体化する基本法ともいえる「景観緑三法」が成立した。あまり大々的には取り上げられた感がないのが残念だが、特筆すべきことと思う。

 ところで、その「景観」とも密接に関係するが、私の事務所のある議員会館の建て替え計画が出てきた。千代田区の景観まちづくり審議会にもかけ慎重に検討されているらしい。現在の議員会館は昭和38年から40年にかけて完成、衆参あわせて3棟地上7階建てで、722室の各議員事務室は約40平方メートル。狭いし老朽化が目立つのは結構有名だ。昭和38年当時から比べるとコンピューターやコピー機など備品も増え、秘書室には申し訳程度の流し台が(しかもむき出しで)あるだけで、うちの事務所のように10名単位での来客が珍しくない事務所はいつも飽和状態である。議員室も同じく狭いので、私のところは執務室ではなく応接室として割り切り、できるだけ大勢が座れるようにレイアウトしてある。かくして私が何か読んだり書いたりするときは、1階にある面談室という部屋を議員会館課から借りることになる。

 ワシントンで議会向けのシンクタンクをしている米国人の友人が初めて来たとき、彼はそのあまりの粗末さに率直に同情した。そして、私が「国会議事堂のシンボルである中央棟より高層の議員会館建設には問題があるんだ」という話をすると、「そういう精神論も関係するんだねーー」と妙なところで日本精神を感じ取ったようだ。

 建て替え計画は確かに必要かもしれない。……そういわざるを得ない状況は確認されているといえる。……しかし今の議員会館が使えなくなったとは言えないのも事実である。狭くて古い空間を知恵を絞って

議員室

入り口から見ると…

秘書室
 

広く見せ大事に使う精神というのも 我々日本人の得意とするところではないかとも思う。もとより狭い国土の中で都市景観を考える上でも腕が試されるところなのだ。

 以前から必要性を訴えてきた保育所も衆議院側に設置される見込みもあり、決して建て替えに反対しているわけではない。

 ちょっと思いを巡らせているだけだ…。

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