かつとしコラム

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◆「ひとこと」

 国会が開会し、週が明けた。総理の所信に対する本会議質疑は厚生労働大臣の発言問題で政府の陳謝が続いた。衆議院の予算委員会が始まった2月1日、私は朝から地元に帰ったが、地元事務所や自民党県連には抗議の声が電話や葉書で何件も届いた。

 個人的なことだが、私には一人息子がいる。21年前の4月、彼は大変な難産の末、生まれてきてくれた。妊娠・出産という最も大変な時期に、私は大蔵省主計局主査というもっともハードな職場にいて、女房をろくに手助けすることもできなかったが、母体と胎児とが危険にさらされ、万が一のことがあるかも知れないと医師から言われたときは、出産というものの重大さを思い知らされ愕然としたものだ。

 母子共に健康と聞かされたときの安堵感と喜びを私はいまでも忘れることができない。人生で一番感動した日だ。子供が生まれてからは、自分のそれまでの仕事中心の生活が急におかしく思え、「家族のために生きる」ということを改めて思った。妊娠・出産・育児とはそれほど神聖なものだ。

 そんな私は、政治家になってのち、党厚生労働部会長・参議院厚生労働委員長・子育て支援委員長として、少子化の問題に取り組んできた。その過程で、男性であるがゆえの無知・無理解を痛感したことも多々ある。経済との関係で少子化問題を捉えることの問題点と限界も学んだ。だからこそ、男性がこういう役職につくということがいかに大切かということも感じた。

 今回の厚生労働大臣発言は、「女性は産む機械」という発言だけではなく、「産む役目の人(女性)に頑張ってもらう」という点も実は大きな誤りである。頑張るのは夫婦(男女)両方、そして周りのみんながその頑張りを精一杯支えるべくまた頑張らねばならないのだ。そしてまさに今が、第二次ベビーブーム世代が適齢期を迎え、まことに大事な時期なのだ。

 私は任命権者ではないので留任辞任をとやかく言うつもりはない。ただ、ともすると陥りがちな認識の間違いや「ひとこと」が、これからの日本を支えようとする多くの男女に取り返しのつかないショックを与えてしまうということをつくづく考えている。
 

2007年2月2日 秋田にやっと雪が降って・・・

 

  

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