親父のような人
私の父は東北電力の技師で、いつも作業着を着て黙々と働く人だった。「電気を届けるのは。人を明るくする仕事なんだ」と自分の仕事に誇りを持ち、「公的なるものへの献身が大事だ」というのが口癖で、献身という言葉そのものの後姿が目に焼きついている。
私が国会議員になって間もなく他界した。
一方、政界や財界の中心とは無縁の家庭で育った私は、人生の中で親父代わりと言える人に何人か出会ってきた。
その一人が、秋田の経済界を引っ張ってこられた、辻兵吉秋田商工会議所名誉会頭だ。
一橋大学の先輩というご縁から、大学生のときにご自宅を訪ね、家族同様のお付き合いをさせて頂くまでに至った。
政治を志したときには、後援会長を引き受けて頂き、昨年の落選を最も落胆されたのも辻会長だ。
悲しい思いをさせたまま、7月5日、亡くなられた。
「申し訳ありません。必ずや返り咲いて、いつも言っておられた『秋田発展のために』ご恩返しします。」と思いながらお別れをした。
今日でちょうど一ヶ月になるが、この別れを受け入れるには、少し時間がかかりそうだ。
2008年 8月 5日