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1月30日 参議院予算委員会質疑議事録 速報版

1月30日(水) 参議院予算委員会

平成13年度補正予算案審議は、いわゆる外務省NGO問題による衆議院でも審議空転・野党欠席のままでの採決という異常事態に陥りました。そのため29日に予定されていた参議院での審議は、田中外務大臣の辞任という総理の苦渋の決断をもって、1日遅れで与野党ともに出席のもと始まりました。
 金田は、自民党を代表して与党のトップバッターで質問。その様子はNHKテレビで放映されました。
 我が国を取りまく内外情勢が政治に一刻の猶予も空白も許さない状況であるとの認識のもと、補正予算案の審議という基本に立ち返り、経済対策を中心に堂々かつ冷静な議論を繰り広げました。

<基本姿勢>
■構造改革と景気の両立
■当面及び将来にわたっての安心の確率
■政策総動員の姿勢/縦割り弊害の打破

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○委員長(真鍋賢二君) 
 次に、金田勝年君の質疑を行います。金田勝年君。

○金田勝年君 
 自由民主党の金田勝年でございます。
 まず初めに、昨晩のご決断について、厳しい経済状況の下で、省庁の中での問題が国会に波及して混乱が続いておりましたところ、総理が昨晩の決断を下されましたことに対しまして我々自由民主党は心から敬意を表するものであります。そして、新たな外交の再構築に向けて心から期待を申し上げるものであります。
 そこで、今日の議論を聞いておりますと、今日は第二次補正予算、これを提出して、これを審議する日だったなということを、原点に返って今、ただいま思っておる訳であります。日本経済の景気の現状は非常に極めて厳しいものがあるわけであります。一刻の猶予も許されません。参議院では政策の中身についての充実した審議を行い、一刻も早い成立、執行が必要不可欠であると、こういうふうに思っておるわけでありますので、本日は、発足以来9ヶ月、70%を超える国民の指示を受け続けております小泉内閣の構造改革につきまして、特にその経済政策につきまして、当面の安心と、そして将来への国民の安心を確立するという観点からの質問を縷々させていただきたい、こういうふうに思っております。
 小泉内閣は、発足直後から構造改革を強力に推進され、昨年の6月にはまず骨太の方針を手始めに、改革工程表、そして改革先行プログラム、そして第一次補正予算と着実に手を打ってこられたわけであります。そうした中で、今回審議いたします第二次補正予算は、昨年の12月14日に決定されました緊急対応プログラムにもありますように、経済がデフレスパイラルに陥る危険性を判断しての、正に構造改革と景気の両にらみで進めるための決断であった、こういうふうに理解をしておるところであります。
 総理にお伺いしたいと思うわけでございますが、今回の第二次補正予算の性格と位置付けにつきましてご説明を願いたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 
 経済停滞が続いている中で、これまでの産業構造、大きく変わろうとしている。できるだけ生産性の高い分野に多くの国民が参加できるように、また資金が回るような改革をしていかなきゃならない。となりますと、この時代に対応できない企業は市場から退場を余儀なくされる場合もあると思います。
 そういう際には、やむを得ず職を失わなきゃならない人たちに対しては、その為の雇用対策、さらには新しい職場に向かって訓練、研修できる機関、そういう所要の措置を講ずるとともに、こういう停滞した経済の中でも新たに雇用を必要とする会社、産業も出てきております。そういう面に力付けていくような措置、こういうものを併せてやっていかなきゃならないと思います。
 確かに雇用状況は悪化をしておりますが、そういう中においても、新しい時代に対応しようとする産業の中にはまだまだ人手不足のところもあるわけであります。そういう求人と求職のミスマッチ等の整備もございます。
 また、今まで経済の発展というのは多くの民間企業がそれぞれの創意工夫を発揮しながら、自らの金で設備投資をし、自らの金で人材を養成し、また雇って、いろいろないい商品、いいサービスを提供してきた。そういう産業にもしっかりとした資金が流れて行くような構造を作る、不良債権の処理と、そういうものを併せてやっていかなきゃならない。
 その中にあって、9月11日にテロが発生し、これまたアメリカを始め世界同時不況の様相を呈している面もございます。こういうときには、いわゆる改革を進めていく上において伴う痛みを和らげる対策も必要であるのではないのか。同時に、物価は下がっております。
 デフレスパイラルというものをなくすためにも即効性のある事業、あるいは緊急的にすることができる事業、いろいろあると思います。デフレスパイラルを起こさない、そして構造改革を進めていくという両面に目を配りながら対策を打たなきゃならないということを考えまして、この第二次補正予算を提出しているわけであります。
 この第二次補正を提出していることによって、今まで進めてきた改革を更に軌道に乗せていきたいと。また、改革に伴う痛みを少しでも緩和していきたいという意味合いを込めてこの第二次補正予算を提出しているわけでございます。

○金田勝年君 
 今おっしゃられたように、今回の第二次補正予算では公共投資と施設費を国費で2.5兆円、そして事業費ベースで約4.1兆円を追加するわけであります。景気に対する波及効果も期待される一方で、構造改革を一層加速するということを両にらみでねらっているわけですけれども、正に一粒で二度おいしいこの補正予算、こういうふうな欲張りな目的を持っておるわけですけれども、これを財源の面から見ますと、政府の保有資金であるNTTの株式売却収入、これを活用して、国債の発行による外部からの資金調達には一切頼らなかったということで、非常にその知恵の限りを尽くした予算、こういうふうに思うわけであります。これは14年度予算と一体として、15ヵ月予算として見ることもできると。
 そこでまず塩川財務大臣に、この政策で構造改革や景気にどの程度資するものなのか、財政の面からの対策としては十分なんだろうか、この辺をお伺いしたい。

○国務大臣(塩川正十郎君) 
 今回の補正は、ご承知のように第一次補正と併せまして当初予算に対するてこ入れというものは、事業費に直しまして約9兆9千億円相当の事業補正をしておる、こういう御認識をいただいたらいいと思っております。それによりましてGDPに対します派生効果というものは確実に出てまいると私は信じておりますし、また計算上ではそれで浮かんできております。
 まず、その結果の一つといたしまして、卸売物価がじっと停滞してもう下げ止まりしてきたということが一つございますことと、それからもう一つは、輸出が12月以降少し改善してきたということがございます。したがいまして、私たち、目標としては何はともあれ経済の成長率を、マイナスに落ち込んだやつを、マイナス0.1%、落ち込んだやつを0%に引き上げたいと思っておりまして、それにつきましては、いずれこの年度末辺りにそれに対する見通しを何とか立てたいと、こう思って鋭意努力しておるところでございます。 なお、公需、公の需要に対するGDPの寄与率というものにつきましてもそれぞれ専門家の方でいたしておりますが、名目で0.9%の補助となるように考えておるところであります。

○金田勝年君 
 こうした補正の背景としまして、今度は具体的に景気と経済の話に入っていきたい。
 先週末に、25日に閣議決定されました「平成14年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」、これを見ますと、そしてまた1月の月例経済報告、これを見ましても、いずれも政府の発表する文書にしては非常に率直な表現、景気の悪化、デフレの進行という記述があるわけであります。
 そこで竹中大臣にお尋ねしたい。
 まず、我が国の経済の現状と見通しをどのように見ておられるのか、またデフレの原因、それからデフレがなぜいけないのか、デフレをどう打開するか、こういう点につきまして、竹中大臣は私と大学で一緒に経済学を学んだ間柄でございますから、かつてからわかりやすい説明には定評がありましたので、是非国民の皆さんにそのところを分かりやすく説明をしていただきたいなと、こういうふうに思うわけです。どうぞよろしく。

○国務大臣(竹中平蔵君) 
 まず、経済の現状をどのように見るかということでございますけれども、財務大臣の話にもありましたように、今年度マイナス1%、来年度0%ということで、当面やはり厳しい経済運営が続くということを覚悟しております。しかしながら、来年度の後半には循環的な、輸出、在庫等循環的な局面では明るさが出てくるということが期待できるのではないだろうか、そのためにも根っこの構造改革の部分をしっかりとやっていく必要があるというふうに認識をしております。
 デフレでありますけれども、物価の持続的な下落の原因としては、昨月、先月発表しました経済財政白書の中に三つの要因を挙げております。一つは、海外から安いものが入ってくる、ないしは技術進歩が早いというようなことから生じる供給側の要因。もう一つは、需要が少ないという需要側の要因。そして三つ目は、不良債権等々の問題で金融仲介機能が低下しているという金融的な要因。それに総合的にしたがって取り組むことが必要である。不良債権の処理、需要に関しては、したがって今回の補正予算、次年度の予算の役割というのが大変大きい。加えて、これは金融的な現象でございますので、その金融の更なる柔軟な対応、金融政策面での柔軟な対応、こういった併せ技が必要になっていると、そのように認識をしています。

○金田勝年君 
 デフレですからね、国民や企業にとりましては非常に不安があるわけです。当面の不安もありますし、将来に対しては漠然とした不安かもしれませんが、そういうものがある。政府を挙げて不安を取り除いていくということが非常に重要なわけであります。
 したがってまず、金融不安の、不安の中でも金融不安の問題についてお尋ねしたいと。 政府として考えた場合に、金融面の問題というのは私は大きく二つあるだろうと。一つは、当面の危機を、この3月から4月にかけての時期をどう乗り切るかと、そういう点が一つ。もう一つは、不良債権問題にけりを付けて金融不安の根っこを断っていくこと。この二つだというふうに考えるわけであります。
 まず、当面の金融危機なんですけれども、ペイオフ解禁に向けた準備は果たして万全なんだろうかと。それから、日経平均、今日の前場の終わり値、皆さん御存じですか。9877円です。一万円に張り付いていた株式市場は今日は何と一万円を切ってしまった。そういう状況ですから、3月決算を迎えるに当たってたくさんの法人や金融機関、これ赤字が出るんではないか、大丈夫なんだろうか、非常に心配をしているわけであります。現に、上場公開企業のうち株価が100円を割ってしまっているという企業がもう400社ぐらいあるというふうに言われているんです。
 総理は、年頭の記者会見でも金融不安を起こさない、あらゆる手だてを講じるというふうにおっしゃっておられるわけでありますけれども、金融危機回避のためにこの当面の、この春のというふうに世間では言われているんですが、そうした金融危機回避のためにどういう政策手段を用意されておるんだろうかと、この点わかりやすく、力強く説明をしていただきたい。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 
今、いろいろなお話が出ましたので、少し私ども項目ごとのご説明をさせていただきたいと、このように思っております。
 金融危機という言葉、あるいは金融不安という言葉、これは我々としては余り使うことを好まない言葉ですけれども、メディア方面ではかなり使われておるということでございます。そこに見られることは、やはり不良債権の処理というもの、特に私どもが最近の施策として行っておるところの特別検査の結果、あるいは引き当ての改善と、こういうようなもの、これはいずれも市場との調整をより、従来よりも図っていこうという観点に立った施策なんでございますけれども、こういうようなものを推進する結果、非常に不良債権処理に伴う損失が増加をして、それがために損益計算はもとより自己資本というようなものを大きく削減するということになりはしないか、これが一つの観点から論じられている観点だろうと、こういうように受け止めております。
 私ども、特別検査、今、鋭意施行させていただいておりますし、また3月期の決算においては市場の動向をよく見て、自分達の貸付金債権の行内格付といって引き当ての前提になる手続ですけれども、そういったようなものに当たってよく市場の評価も参考にするようにというようなこと、これも徹底をいたしたい、こういうように考えております。

 私ども、特別検査、今、鋭意施行させていただいておりますし、また3月期の決算においては市場の動向をよく見て、自分達の貸付金債権の行内格付といって引き当ての前提になる手続ですけれども、そういったようなものに当たってよく市場の評価も参考にするようにというようなこと、これも徹底をいたしたい、こういうように考えております。
 しかし、そういったものを先期、昨年の9末でございますけれども、この中間決算をするに当たって、各主要行においては3月期の決算がどんなふうになるだろうかという見通しを述べているんですけれども、かなり処理損が出るという見通しを発表いたしております。6.4兆というような数字がその数字なのでございますけれども。私ども、この見通しそのものについて今当局の立場でいろいろとコメントするわけにはまいりませんけれども、かなりまじめな見通しを出しているんではないか、このように考えるわけです。仮に、若干更にそれが下揺れというか上揺れというか、損が増大するというようなことが考えられるとしても、今申した自己資本との関係で深刻な問題が生ずるというふうには考えておりません。

 BISの基準、これは国際的な基準のことですけれども、この基準は8%ですけれども、それに照らせばこれを優に上回るような自己資本比率が確保できると、こういう見通しでございます。したがって、この点については今すぐ大きな問題が生ずるというふうには実は考えていないわけであります。
 ただ、今、先生御指摘の株価、これはまた別の問題でございますけれども、私どもとしては、今6.4兆円で二けた台の自己資本比率が維持できるということを申しているその前提になっているのは、9末、昨年の9月末の9774円、こういう株式相場を前提としているわけでありますので、それに比べて極端に大きな下揺れが生ずるというようなことになりますと、これは若干話は別になるという側面もありますけれども、日本経済の実態からいって、マーケットのことはなかなか計り知れない面はありますけれども、私ども、そんなカタストロフィー的な事態が起こるとは考えていないわけであります。
 なお、次にペイオフの問題でございますが、これは私ども、当初の予定を一年延期いたしておるわけでございます。それは、信用組合というものがこれまで都道府県の管轄でございましたが、それを国に移管をしてもらって、国の目で本当にそれぞれの信用組合の健全性にもう一度目を入れさせていただきたい、こういうことで時間的な余裕をいただいたわけでございますが、これらももう完了いたしまして、しかもその事後措置も着々ともう進めさせていただいておりますので、その関連での準備というものはもう3月末には十分でき上がる、こういうことでございます。

 我々は、ペイオフを迎えて考えていることは、まず4月の1日に店を開けるような金融機関が簡単に倒れてしまうようなそういう非常に脆弱な金融機関であってはならない、しっかりした自己資本を持って、そして預金者にすぐに迷惑の掛かるというようなそういう金融機関はすべてそこからないと、こういうようなことにいたしたいということを基本にいたしております。
 それからまた、ペイオフというのも若干、ちょっと技術的な面がありまして、貯金が1千万円だけしかもう返ってきませんよと、それを上回るのはもう返ってこないんだみたいな、最近ではそういう方はなくなったかと思うんですけれども、非常に短絡的な誤解もあるようでございまして、これをまず正確に理解していただく。定期預金は1千万円の保険の範囲内だけれども、普通預金に替わればまだ一年は完全に全額保護されるというようなこと、そういうようなことをしっかりとまず知識として獲得していただく。こういう正確な理解によるいろいろな預金者の、じゃ私は1千万円ずつ複数の銀行に分けておきましょうというような行動があったとしても、それは健全な我々は反応だと、こういうように思っておりまして、まずPRをする。それから、いろいろ部内で、技術的なことですけれども、預金契約約款というようなものに借入金と預金をしている場合には相殺をするんだというようなことについても、本当にこの条項を整備するというようなことというようなことを実は着々と進めておりまして、私どもとしては、ペイオフというようなものについてこの4月1日からこれを確実に履行いたしたい。
 万が一、もし金融危機が生ずるようなことがあれば、これは総理が度々言及されておられるとおり、私ども、預金保険法の102条というようなものにしっかりした、あの97年、98年の金融危機のときに取ったと同じようなそういう措置ができるような仕組みがございますので、それらを適切に運用する、こういうことで万全を期してまいりたいと考えているわけであります。

○金田勝年君 
 金融担当大臣から大丈夫だと、この春はそういうふうな心配はないという宣言を今していただいた、そして総理も同じ意見だと、こういうふうに受け止めて、それでは日銀としては、総裁お見えですけれども、そういう万が一、いろんな想定、不安の原因になっているわけですけれども、そのために日銀の方としてはどうですか。

○参考人(速水優君) 
 お答えいたします。
 日本銀行といたしましては、物価が継続的に下落していくことを防止するという断固たる決意を持ちまして、内外の中央銀行の歴史にも例を見ないような思い切った金融緩和措置を講じてまいっております。
 しかしながら、こうした措置は金融市場においては強力な緩和効果をもたらしているんですが、それが金融市場の外側にある企業などにつきましてはまだ十分浸透しているとは申せません。日本銀行としましては、今後も金融市場の安定確保と緩和効果を浸透させるということにつきまして、中央銀行としてなし得る最大限の努力を継続してまいる方針でございます。
 同時に、デフレを防止していくという上では、粘り強い金融緩和の継続と並んで、金融システム面はもとよりのこと、経済産業面での構造改革などを通じて、家計や企業、金融機関の前向きな活動、特に企業、家計の民間の需要が引き出されてくるようになればこれはしめたものだというふうに思っております。そういう意味で、むしろ前もって十分な資金を出したというふうな感じでございます。
 以上でございます。

○金田勝年君 
 総裁、それは、今の決意は特融を含めて万全を期していくというメッセージなんでしょうか。

○参考人(速水優君) 
 万が一、金融システム全体の安定が損なわれるあるいは疑問が出るというような事態に陥りました場合には、金融危機対応会議の議を経まして、先ほど柳澤大臣が言われましたように公的資本注入といったような適切な対応も講じられることと思いますし、日本銀行としましても、公的資本の注入を含む政府の対応と併せて、金融システムの安定を確保すべく、万が一の場合には流動性供給の面から適切な対応を期してまいるつもりでおります。

○金田勝年君 
 それは特融を含め万全を期していくんだというメッセージと受け止めておきたいと思います。よろしいですね。
 当面の危機をそういう努力で乗り切ったとして、金融システム問題というのはどのような手順で解決をしていくのかという点があるわけであります。
 我が国の不良債権問題というのは、規模、構造ともに極めて根深いものがあるわけでありまして、これを一挙に解決しようと思えば相当の血が流れることになるわけであります。他方、その問題を先に送れば、金融不安の根っこがいつまでも残って日本経済の復活も危うくなる。あちらを立てればこちらが立たず、本当に難しいかじ取りなのでありますけれども、そのバランスをどう取っていったらいいとお考えなんでしょうか。総理、よろしくお願いします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 
 何やっても、やれという意見とやるなという意見があるわけであります。あちらを立てればこちらが立たず。不良債権処理を早く進めろと言う政党もいますし、そんなに早く進めたら失業が多くなる、倒産が多くなる、ゆっくりやれと言う政党もあります。議員の中にも意見が分かれております。そういう中で、今までやるべき改革をしていなかったからこそこれだけの経済停滞があるんじゃないか、いわゆる不良債権処理が遅れたのではないかという立場に立つのが我が政府、小泉内閣であります。
 不良債権処理、できるだけ早く正常化したい。そのためにある程度企業の倒産も出るでしょう、失業者も出てくるでしょう。そのための雇用対策、あるいは金融危機を起こさせないような対策はしっかりといたします。極めて限られた狭い道でありますけれども、この狭い道を嫌がって今までどおりがいいということで、それでは果たして経済が回復するか。もっと悪くなると思います。国債発行もそうであります。国債発行額が足りない、もっと出せ、もっと景気対策をやれという声もあるのも事実であります。しかし、それをやって国債が暴落して、金利が上がって、景気が回復するのか。逆であります。
 極めて厳しい道でありますけれども、この改革を行く道しか方法がないということで、この今の方針を堅持しながら進んでいるということをご理解いただきたいと思います。

○金田勝年君 
 そういうことで一生懸命やっていくという総理の御発言なんですけれども、閣僚の皆さんは今役人の皆さんのリーダーとして仕事をしています。自分も昔公務員だったものですから言いにくい話なんですけれども、今、デフレを解決する時には、やっぱりたくさんの部下を持っておられますけれども、部下はすべて公務員です。公務員というのはデフレに強いんですね。デフレに対する痛みというものをなかなか実感として認識することが難しい。そういう方が閣僚の大臣の皆さんの部下にいらっしゃるわけです。だぁっといる。ですから、今どっちを選ぶか、あちらを立てればこちらが立たないと言うときに、それをしっかりと、片方に偏っていないかどうか、そういうことも含めてバランスを取っていただくというのが私は今非常に大事なことだというふうに思いますので、総理を始め閣僚の皆さんにはそういう御努力もぜひお願いしたいな、デフレで苦しんでいる皆さんの実感を分かる行政をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 続いて、貸し渋りの問題をお聞きしたいんですけれども、金融機関は特別検査とか引当金の積み増し、こういったものに加えて、不良債権処理のプレッシャーもあります。再編淘汰の波にさらされてもおります。ですから、その結果、中小企業に対しましては貸し渋りどころか今は貸しはがしまでが増加しているわけであります。
 中小企業というのは地域経済の支え手であります。そういう地域の金融機関には公益的使命というものがあるにもかかわらず、例えば金融機関のバランスシートはきれいになったけれども後には何にも残らなかったというようなことにならないように十分な配慮をひとつしていただきたいな、こういうふうに思うんですけれども、柳澤大臣、いかがでございますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 
 私どもも同じ思いなのでございます。
 それはもう我々がそういう思いをしているということは、先般、10月の改革先行プログラムにおいて述べているところでありまして、不良債権の処理と金融の円滑化という一つ項目を起こしまして、どうも最近の銀行を見ておると、もちろんそれは我々が働きかけているある意味の結果なのでもありますけれども、不良債権の処理ということに相当エネルギーを取られているようにもいろいろ聞く、あるいは見る、こういうようなことがございますので、やはり収益を上げるためにももっと条件的に貸出しのできるそういう貸出先、殊に中小企業の皆さんがそうなんですけれども、そういうところについては手を抜くなと、積極的に見つけ出して資金を融通させていくというようなことに努めてもらいたい、こういうことをうたわせていただいております。
それから、当たり前のことですけれども、年末には、これ恒例になっておりますけれども、政府機関も含めてありとあらゆる業態の金融機関の責任者を集めまして、私ども、そこには、私を始め、経済産業省からは副大臣が来られるというようなことで、関連のところみんな来まして、よく年末を始めとする金融の逼迫時には注意してもらいたいということを我々働き掛けて述べているところでございます。
 その結果どうかということですけれども、確かにこのところちょっとまた金融機関の貸出し態度をどう見るかというディフュージョンインデックスの上にも現れてきておりまして、少し厳しいという、そういう見方をするところが増えておりますけれども、ただ、我々が見るところでは、その程度というのは、まだ若干そういう兆しが見えるという程度にとどまっております。
 なお、一言だけ加えますと、私ども、収益を上げなきゃいけないからということで金利の引上げをできるところはお願いするということをやらせていただいております。そういうことも、中小企業庁の調査なぞではそれが貸出し態度が厳しくなったというようなところに包含して出てくるというような面もありますので、その辺りのことは、委員はもう何もかも御専門でございますけれども、数字を見る場合にもちょっと御留意をいただきたいというふうにお願い申し上げておきます。

○金田勝年君 
 こうした状況の中で、緊急中小企業対策として、例えば売り掛け債権の担保融資に対します信用保証制度の創設とか、セーフティーネットの保証、貸付けなどの対策が取られているわけであります。
 平沼経済産業大臣の方から、やっぱり国民へのPRの意味も込めて、中小企業に対する資金面での取組について簡単に御説明していただければ有り難いというふうに思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 
 お答えをさせていただきます。
 確かに、昨今の景況から、中小企業に対する特に貸出しというのは委員御指摘のように厳しいものがあるわけであります。そこで、経済産業省といたしましては、やる気があって潜在力のある、そういう日本の経済の基盤を支えてくだすっている中小企業者、ここにやはり活力を持っていただく必要がある、こういうことで、特に平成13年度の一次補正予算におきまして1千4百億準備をさせていただいて、そして金融機関のいわゆる破綻でありますとか、あるいは大型企業の破綻によってその連鎖に巻き込まれる、そういったところに関しましては貸付けの限度額を上げるという、こういう措置もさせていただいています。したがいまして、それはセーフティーネットの貸付制度と保証制度と、こういう面でその充実を図らせていただいています。
 それから、今御指摘になられました、やはり今なかなか中小企業者の皆様方は大変なんで、土地はがんじがらめになっている、そして現金預金というのも78兆ぐらい皆さんお持ちなんですけれども、これもあしたの支払だ給料だと、こういうことで、ここも手を付けられません。そこで売り掛け債券というのが87兆ございますから、ここに着目をいたしまして、昨年の秋、両院の御同意を得まして新しい法案を作らせていただきまして、昨年の12月17日から、これは早くやらなきゃいかぬと、こういうことで発動させていただいています。
 さらには、もう一点、平成13年度の大変第一次の貸し渋りが起こったときに、委員御存知のように30兆の特別保証をさせていただいた。これは172万社が利用をしていただいてそれなりに効果があったわけですけれども、これの返済を今一生懸命皆さん方は頑張ってくだすっているわけです。しかし、こういう状況ですから、金融庁とも御相談をしながら、このいわゆる条件変更をさせていただこうと、こういうことできめ細かく対応させていただきまして、既に11万7千件の条件緩和、条件変更に応じさせていただいています。
 そしてまた、これ、年度末を控えますので、更にきめ細かく対応させていただかなければならないということで、経済産業省、中小企業庁から幹部を20数都道府県に派遣をさせていただいて、そして実態をじかに把握させていただいて、きめ細かく対応させていただく。
 また、売掛金債権に関しましても、この保証制度もこれからもっと御利用していただくために、今テレビを通じたりしてPRを一生懸命やっている、こういう対応をさせていただいております。

○金田勝年君 
 本当に、やっぱり今大臣が言われたような施策には、政府系の金融機関も大きな役割を果たしている側面があります。それに金融庁との関係もございます。それぞれの縦割りの中でやっている仕事が矛盾しないように内閣として十分フォローしていっていただきたいと、こういうふうに思います。
それから、中小企業にとっての不安というものを考えた場合に、今いわゆる中国脅威論というのがあるわけであります。従来は繊維産業、そして最近はIT関連機器や家電製品などの分野においても、やっぱり中国への生産の移転が著しいわけであります。産業空洞化の雇用の問題に関して、こういう問題を考えたときも、時間の関係で質問は申し上げませんが、やはり空洞化の問題にしましても、あるいは昨年のセーフガードの問題にしましても、個別的、対症療法的に対応するという傾向が強いんであります。こういうのは少し変えて、人材面も含めた総合的な国家戦略が必要なんじゃないかな、こういう思いをしておりますものですから、この問題については日を改めてまた議論させていただきたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、税制の面からの今の経済に与える影響ということで、ちょっとお聞きしたいと思います。
 1月17日に総理は、年明け早々に政府税制調査会に自らお出になられて、あるべき税制の構築ということで抜本的な税制改正の検討に取り組むように指示されたと聞いております。例年は、秋から始まるのに、2月からもうみんな三頭立ての馬車で、政府税調、自民党税調、経済財政諮問会議、この三頭立ての馬車が一気に走るわけです。6月を目指し、秋を目指して走るんです。そういうことをして行き着く先はどこかなということをこれまたみんな心配になったり考えたりするんですね。そういうことで、レーガノミックスにしろサッチャリズムにしろ、およそ改革と名の付くものは常に税制がかなめになっております。そういうことを言いますと、総理に質問したいところなんですが、時間の関係で財務大臣にお願いしたいなというふうに、お聞きしたいなというふうに思うんですが、やっぱり二つの点に配慮してほしい。
 一つは、経済の活性化に資する税制の在り方という視点も是非持ってほしい。資産デフレとか不動産取引の低迷、逆国土法を制定したらどうかという意見もいろんなところで私聞くんです。そういう深刻な状況の中で、やっぱり土地に対する資産課税、証券市場関係税制、見直しするべきところあるのかどうか。した方がいいんじゃないかという人もいます。消費を増やすための相続税や贈与税の見直し、様々な議論をしていただきたいわけです。
 そして、また二つ目には、税制を議論するときに、単年度でしかも税収中立、税制じゃないですよ、税収中立、レベニュー・ニュートラルでとらえようとする傾向がありますけれども、これを変えてほしい。今年は少々税収が減っても、将来は景気が良くなれば所得も税収も増えるんだと。数年をにらんだ、ある一定期間をにらんだ動態的分析をベースにした、そういう対応というものを入れていただきたいなと。税制当局の通信簿が、単年度の増収や減収の額の差で通信簿が付けられるような状態だったら、これは大変なんです。
 せっかく今年からこういう真剣な議論をされるわけですから、そこのところを財務大臣に是非確認させていただきたいと思います。

○国務大臣(塩川正十郎君) 
 まず最初に、今回の税制改革は、とにかくこの14年度予算を早く成立させていただいて、この後、4月以降におきまして検討に入り、夏までに結論を得たいというそういうスケジュールで入っておるところでございまして、そこで問題は何かとおっしゃるのを今二点先生がおっしゃった、これは正にそれがテーマになっておることは事実でございます。
 今まで、過去、去年の間にいろんな構造改革、経済構造改革やりましたけれども、特に財政面についての構造改革をやってまいりましたけれども、税制についての構造改革ということについては今年に送ったという経緯がございますので、是非構造改革的観点から税制改革に取り組んでいきたい。
 その要点は何かといいましたら、産業構造の変化に伴いまして新しい産業が創出されるようなそういう誘導をしていくような税制に変えたいということが一点でございます。それからもう一つは、おっしゃるように、税制がただ単に歳入バランス取りに終わるということのないようにしろということでございまして、確かにそうでございまして、税の考え方は、長く中長期的な展望に立って改正する点も必要でございます。そこで、まずは損して得をとれ、損して得取れという言葉がございますが、そういう考え方も税制の中に入れていって、なおかつ、それだけではやっぱり国家財政もちませんので、国家財政の基盤は確保しながらそういう将来性を見込んだものでやっていきたいと、こう思っておりまして、鋭意、おっしゃる趣旨は十分に我々心得ておりますので、検討に入っていきたいと思います。

○金田勝年君 
 国税に関しまして財務大臣からお聞きしましたので、次は総務大臣に地方税についてお聞きしたいんですけれども、もちろん地方分権の観点からですね。
 地方税収をという声もあります。けれども、現在の経済情勢を踏まえれば、地方税についても是非、経済活性化という観点を踏まえた議論も是非考慮していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君) 
 今お話ありましたが、地方税の立場からいいますと、やはり地方の税財源基盤の強化なんですね、まず。その意味で我々は、大変難しい課題ですが、頭から税源移譲といっているんです。
 今、税金全部は、御承知のように、国が60、地方が40取っていますよね。ただ、仕事は国は35、地方が65やってるんですよ。40の収入で65の仕事が何でできるかというと、25、国からお金が来ている。15が地方交付税、10が国の補助金等ですよね、だから、私はせめて60対40を50対50にしてもらいたいと、その税源移譲をしてもらいたいと。
そういう意味からいいますと、まずその地方の、地方税財政の安定なんですね。それが地方分権の推進につながると、こう思いますが、今、金田委員言われましたように、やっぱり経済の活性化というのも念頭になきゃいけません。
 それで、地方分権が進んで地方の財政が豊かになって思い切った地方の事情に基づく仕事を自主的に創意工夫でやれば地域経済が活性化するのは決まっているんですよ。そのことが私は大きな経済の活性化につながると、こう思っておりますので、地方税制の充実、税源移譲についてはなお努力してまいりたいと、こう思っております。

○金田勝年君 
 そこら辺をよろしく、秋まで議論が行われますようによろしくお願いしたいと思います。
 そこで、日銀総裁、せっかく来ていただいていますので、二つ目の課題であります。
 この前、改革と展望というのが25日に閣議決定になりましたが、その中を見ますと、今後二年程度の集中調整期間というのは、政府、日銀は一体となって強力かつ総合的に、最も重要なのはデフレ克服であり、これに取組を行うと、こう書いてあります。
 そこで、その中に数字が出てまいります。二年経つと物価上昇率はプラスに転じる。2004年度以降は、実質1.5%程度、名目2.5%程度の民需主導の着実な成長が見込まれる、こう記述されております。これは、すなわちGDPデフレーターが1%、消費者物価上昇率は三年目には2%程度になるということを明示しているんであります。これは、総裁は経済財政諮問会議の委員でもあり、閣議決定もしておる内容であります。
 日銀法第二条に、申し上げるまでもなく、「物面の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」というふうに書いているんですけれども、今必要なのは、国民が物価は上がると思う状況、そして消費したくなるような状況を作っていくことであります。
 一定の物価上昇を目標に置いて金融政策上のあらゆる手段を取ると、明確な意思表示がこの文章の中に、ゼロから2%の間に物価はなりますよと書いてあるわけですから、三年後にそうなると書いているんですよ、閣議決定でもしているんですよ。これこそ、正しく物価上昇を目標に置いて金融政策上のあらゆる手段を取る明確な意思表示が今こそ必要だと考えますが、総裁、いかがでございますか。

○参考人(速水優君) 
 お答えいたします。
 日本銀行は、既に昨年の3月の政策委員会・金融政策決定会合におきまして、現在の金融緩和の枠組みにつきましてCPIの前年比上昇率、消費者物価ですね、前年比上昇率が安定的に0%以上になるまでこの今の当座預金をターゲットとする金融緩和を続けていくという方針を決定して発表しております。日本銀行としましては、今後ともこの方針の下で金融政策運営面で最大限の努力を行っていくつもりであります。
 こうした考え方は、改革と展望で記されております日本銀行への期待、つまり、今お読みくださいました、日本銀行においても改革と展望を踏まえつつ適時適切な金融政策を行うことが期待されるという表現ともそう、整合的であると思っております。
 もう一つ、それでは景気と物価、物価を先に上げたら景気も元気が付いてくるんじゃないかといったようなことをおっしゃる方もおられるんですけれども、一般的に景気と物価の関係を申し上げますと、まず景気が回復して需給バランスが改善していきますと、経済の体温でもある物価も上がっていくというのが普通の、今まで私どもも体験しましたし、今までの経験を見まして、そういう、まず景気が良くなって物価が1、2年のうちにそれにフォローしていくということであって、その逆ではないということを御認識いただきたいと思うんです。
 この点は、構造改革や財政再建は短期的には景気の下押し圧力としてどうしても作用する可能性が強いと思います。それを乗り越えれば持続的な成長経路への移行が展望できるわけですけれども、それまでの間はある程度の低成長とともに物価低下圧力が続くということも避けられないと思うんです。
 このような状況の下で経済政策運営上大事なことは、物価下落と景気悪化の悪循環、いわゆるデフレスパイラルというものを防いでいくことだと思います。そのためには、金融緩和の継続と同時に、構造改革のプラス面をできるだけ早く引き出すような政策対応が重要であるというふうに思っております。

○金田勝年君 
 やっぱり、経済というのは期待心理が大事なんです。心理的な側面が大事なんですから、自信を持って積極的に、改革と展望にもこうはっきり閣議決定に書いているんですから、一定の物価上昇を目標に置いて経済政策上のあらゆる手段をとるということをこの席で確認をさせていただきたいと、私はそういうふうに思って、次に進ませていただきます。
よろしいですね。
 この実に改革と展望の中にちょっと書いてあるところがあるんですね。目立ちません、やや遠慮がちに書いてある物価連動国債というのがあります。この発行を、これは小泉ボンドツーとか、あるいは塩じいボンドとかいう形で積極的に考えていったらいいんじゃないかな、こういうふうに思いましたので、これも物価上昇を目標に置くという意味で、将来の物価上昇率というものを織り込んだ国債の発行なんです。これは、将来に対して期待感を醸成することにもなりますし、たんす預金なんかに入っている資金を吸収したり、これを財源として活用することもできることになる。こうしたやっぱりあらゆるアイデアを総動員して様々な方法を検討することによってやっぱり前向きに対応していってもらいたいな。
財務大臣、お考えを前向きにお願いいたします。

○国務大臣(塩川正十郎君) 
 この文言が盛られまして、私も非常に大きい関心を持っておりまして一つのアイデアとしてというよりも、やはり私は国債に関心を持ってもらうためにも一つ有効なインセンティブを与えるものだと思っております。
 そこで、いろいろ検討する問題点はございますけれども、物価が上がっていくとき、それには連動してプラスになっていきますけれども、それじゃ下がっていくときは国債の値段は下がっちゃうのかという、こういうことがあって、上がるときだけ保証するんだ、下がるときはもう原価だけで保証だと、こういうことになりますと、ちょっとそこらにいわゆる均衡が欠くんではないかなという点が問題だろうということが一つ。それからもう一つは、国債の金利にどういう影響を及ぼすかなと、実質金利ですね。そういう点等もございまして、私は非常に興味を持って、関心を持って研究を進めていきたいと思っておりますが、そういう問題点があるということで、直ちにこれを踏み切ってやっていこうということはなかなか難しい問題だと思っております。

○金田勝年君 
 竹中大臣、どうですか。簡単にお願いします。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 いわゆるインデックス債というのは、アメリカ、ヨーロッパの幾つか国で出しておりますけれでも、幾つかのやはりメリットがあると思います。今財務大臣言われましたように、技術的には幾つかの種類がありまして、これは当然検討しなければいけないことでございますけれども、そのメリットをいかに生かせるかということを是非検討をしたいというふうに思います。

○金田勝年君 
 いろいろ経済についてやってまいりましたんですが、やっぱり何といっても昨日発表されました12月の完全失業率、5.6%であります。これは、特に男性の失業率が5.8%となっておりますけれども、それに加えて非自発的な離職者が増加を続けている。こういうことで、雇用のコアの部分が傷んできているということをやっぱり深刻に受け止めていかなければいけないと、こう思うんですね。
 有効求人倍率を見ますと、12月には全国が0.51倍なのに、例えば私の地元秋田県ではなんと0.36倍です。低いでしょう。これは困るんです。地域レベルでの雇用失業情勢の厳しさということが非常に顕著になってきておる。ですから、例えば秋田県では県独自の懸命な取組で対策本部も作って一種のワークシェアリングのようなものにも取り組もうとしてるんです。
 ですから地方が独自で取組を先駆けて出してきている、それほど厳しい現状に対して、厚生労働大臣はどう受け止めて今後努力されていくおつもりか伺いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 
 雇用対策が重要であることは、もう御指摘のとおりでございまして、今までのこのきめ細かな雇用対策というのはずっと続けていかなきゃならないし、これを延長していきたいというふうに思っておりますが、それだけではいけませんので、新しい立場からそれにプラスして、そしてどちらかといえば、先ほどから御指摘のように、経済に対して活力を与えるような雇用対策というのはあり得ないのか、その辺を模索していかなきゃならないというふうに思っています。
 今、地方のお話が出ましたが、私も、去年の8月から取り組んでいるわけでございますけれども、全国の、東京からすべてこういう雇用対策でやりますということを発信するのではなくて、それぞれの地域に見合った雇用政策というのをそれぞれの地域で立案していただくという形にしていかないといけないというので、8ブロックに分けまして、これは経済産業大臣のところと共同させていただきまして、それぞれの地域でどういう雇用があるかということをひとつ検討していただいて、それに対して中央がバックアップをするという行き方をぜひやっていきたい。それが一つ。
 それからもう一つは、キャリアカウンセラー。今までは国がどういうふうに考えているかということに対して、民間の皆さん方が十分にお分かりにならないという面もございますし、企業がどういうふうな人を要求してるかということをお分かりにならない面もありますから、その国と企業と個人の中間に立って、そしてやっていくという、そういうキャリアカウンセラーの充実。今年は一万人の人を作ってやっていく、この3月までには千名を充実する、こういうふうにしており、そしてもう一つは、今御指摘になりましたこのワークシェアリングの問題につきましても、これはすべての企業でできるというわけではないと思いますが、できるところからでもこれが手を付けて、そしてこれが全国的に広がっていけるように、役所も含めて、そうしたものを考えていくという、今検討をしているところでございまして、総理からも3月までに何とか結論を出せというふうに言われておりますので、3月上旬には一つの目標を出すということで政労使で今検討を続けさせていただいているところでございますので、ひとつ御期待にこたえられるように頑張りたいと思っております。

○金田勝年君 
 雇用不安の解消につきましては、国民に総理の決意、強いメッセージをいただきたいなというように思っております。
 将来にわたっての安心という観点から非常に重要なんですけれども、そういう意味ではもう一つ、社会保障制度に関する漠然とした不安を払拭するということが必要であります。
 今、日本の国は、男性77歳、女性が86歳と、世界一の長寿国を築き上げてきたわけです。我が国にふさわしい持続的な制度を再構築していくんだ、精力的な議論をもって本当の意味での国民の安心につながる実のある改革を実現していかなければいけない、こういうように考えておりますので、当面の雇用に対する安心と将来の社会保障に対する安心、信頼の確立の観点から、総理の決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 
 世界で一番長生きできる国になった現在、医療保険、年金、介護、これは我々の社会保障においての三大柱と言っても過言ではないと思います。この社会保障制度を若い世代、また高齢者の世代、しっかりと支え合って、どのような給付を多くの国民が望んでいるんだろうか、その際どの程度の負担なら耐えられるんだろうかという給付と負担の問題に多くの国民の議論をいただきながら、お互いが支え合うような制度を構築していかなきゃならない、
 医療保険制度においても、日本におきましては、今や世界に遜色ない医療保険制度と言われながらも、内部をよく見てみますとまだまだ改善すべき点がたくさんあるわけであります。
 また、年金制度につきましても、これから若い世代がどんどん減っていく、そういう中で高齢者がどんどん増えていく中で、果たしてこのまま今までの給付で維持できるんだろうかという問題もあります。
 介護保険制度が導入されて、いろんな議論がありましたけれども、やはり介護保険制度を導入してよかったと、反対していた方々も、もうこの制度はなくすことはできない、改善していく方向にこれからの知恵を出していくべきだという意見がだんだん多くなってきております。
 そういう点を踏まえながら、給付の裏には必ず負担がある、軽い負担で済んでいるというときには多くの方々の負担によって支えられているんだという意識を多くの国民が分かち合うような認識を持てるような議論も必要ではないかと思っております。
 また、こういう雇用情勢が厳しい中におきましても、雇用対策をしっかりやると。いつも失業者が増えた、失業者が増えたといいましても、昨年マイナス成長です。そういう中にあって、確かに建設業とか製造業は20万人、30万人、40万人減っています、雇用は。しかし、サービス業は、このマイナス成長の中にあっても50万人増えているんですね。だから伸びる産業もある。そういう伸びる産業をどうやって育成していくかという前向きの対応も必要ではないかと思っております。

○金田勝年君 

 本当にこれからの将来の安心という観点から、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで最後に、ニューズウィーク1月23日号というのを、これは日本語なんですけれども、日本語版で出ていますけれども、これに総理が特別寄稿をされておられます。これは41ページ。
 アフガン復興に寄せる思いがつづられておるんですけれども、その最後の部分にいいこと書いてあります。武器より農具を、武器より農具を、不安よりも自信をと書いておられるんですね。これが私、大変感銘を受けたわけであります。
 まさに食と農というのは国の礎であります。先進各国の食糧自給率、ヨーロッパもアメリカも100%になっておるんです。それを超えている。ところが、先進国で日本は40%と最低であります。
 そういう状況の中で、今こそ、食と農というのは、国の財産であって、心であって、哲学であって、国の大本なんだと。そういう思いをしっかりと、都市住民も含めた国民全体のコンセンサスというものが必要だと、これを申し上げたいわけなんですね。
 総理の言葉で、食料・農業・農村の重要性、位置付けについては余り聞いた回数は少なかったような感じがするんですけれども、やはり一国の指導者として、その点をやっぱり認識を語ってもらいたい、これを最後に聞きたいんですが、食料も水も自然も電力などのエネルギーも労働力も地方が作って都市に供給しているんだという認識、これは大事だと思います。地方の農山地があって都市があるんです。ふるさとの支えがあって都市の発展がある。都市があって地方があって美しい日本があるんだ、そういう国の形の安心を是非とも総理と認識をともにしたい、その気持ちから最後に一国の指導者としての食と農に対する情熱を語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 
 食こそ健康のもとである。その食を支える農業、これは大変大事なものであると。食の安全性が今いろいろ国民から大きな関心を持たれております。都市と農村、対立するものではない、共存していくものだということをしっかり踏まえながら、これからの日本の国づくりも努力していかなきゃならないのではないかと思っております。

 

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