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自民党の広報本部の企画「議員にクリック」で、一般の方3人と日常生活への影響も大きい医療制度改革について語り合いました。
 その模様は5月21日号「自由民主」において見開き2ページにわたって大きく特集されました。

※機関紙「自由民主」5月21日号には、『小泉総理・総裁「この1年」を語る』ほか、興味深い記事が多く載っております。ぜひご覧頂きたく事務所までご一報をお待ちしております。

総合評価は世界一

世界保健機関(WHO)が認めた日本の保健医療制度

 健康保険法の改正案が国会で議論され、順調にいけば今年の10月から順次実施される。平成15年4月から実施が予定されている医療費自己負担や健康保険料の引き上げなど国民には厳しい面もあるが、これを機に診療報酬体系の見直しを含めた抜本的な医療制度の改革を目指している。私たちの日常生活への影響も大きいこの医療制度について、自民党厚生労働部会長・金田勝年参議院議員にクリック。

Q 医療費自己負担が来年4月から3割に引き上げられます。今後4割、5割になっていきませんか?
A 診療報酬制度等を含めた抜本改革で3割以上には上げません。


北野 病院の窓口での会社員の医療費負担が現在の2割から3割に上がるそうですが、今後さらに4割、5割と上がっていかないのか心配です。大丈夫でしょうか。
金田 会社員の方々の医療費負担の引き上げをお願いするにあたって、私たちは医療制度改革に関する基本方針を策定しました。そこで明確に3割以上には上げない、保険による給付率は7割を維持することとしています。健康保険法改正案にも附則でそのことを明記していますので、ご安心ください。
北野 でも、企業の健康保険組合は7割が赤字と聞いています。そんな厳しい状況で、ほんとうに1割上げただけでやっていけるのでしょうか。
金田 現在のわが国の国民医療費は31兆円に達しています。これを保険料自己負担、国や地方自治体からの財政支援でまかなっているわけですが、今後、患者、被保険者、保険者、医療機関等の協力により国民医療費の総額を負担可能な適正な水準にしていくための医療制度の改革を行っていきます。それによってこれ以上の医療費負担の引き上げをお願いしなくてもすむ、そう考えています。

Q 医療費制度改革の中身を教えてください。
A 診療報酬の引き下げ、一部保険料の引き上げなどがあります。

内沼 医療制度の改革というのは具体的にどんなことをするのですか。また、私たちにどんな影響がでてくるのでしょうか。
金田 基本は、国民の皆さんの医療費負担を3割以上に上げないということです。そのためにはまず診療報酬体系の見直しの必要があるでしょう。デフレの時代なのに、医療機関に支払われる報酬だけは高いままなのはおかしいという声もありますから、医療機関の経営の効率化などによって、診療報酬を引き下げていかなければなりません。
北野 高齢化が進んでいます。高齢者向けの老人医療の見直しも必要ですよね。
金田 おっしゃる通りです。70歳以上の方が対象になる老人医療費はすでに11兆円に達しています。今後もますます増えていくことは間違いありません。このため、診療所に適用されている定額負担制を廃止して、医療費の完全定率1割の負担をお願いすることになります。(高額所得者は2割)
内沼 保険料引き上げの話も出ているようですが。
金田 医療保険制度には、比較的規模の大きい会社に所属している会社員が対象の組合管掌健康保険、中小企業が中心の政府管掌健康保険、自営業の方々向けの国民健康保険の三つがあります。今回保険料の引き上げを予定しているのは、政府管掌保険です。
鈴木 どれくらいの引き上げになるのですか。
金田 現在の保険料はボーナスを含めた年収に対する割合でみると、7.5%ですが、これを平成15年4月から8.2%に上げさせていただきます。もちろんできれば引き上げたくないのですが、これが医療費負担をこれ以上引き上げないためのギリギリの選択なんです。ご理解いただきたいと思います。

Q そこまでして医療保険制度を守る必要があるのですか?
A 世界に冠たる制度。より充実させながら維持していきます。


鈴木 米国では民間の保険会社が医療保険を行っているとか。日本も思い切って民間に任せてはどうでしょうか。
金田 たしかにそういう考え方もありますが、米国でも、高齢の方や障害をお持ちの方には公的な保険制度があります。それ以外は民間に任せているのですが、突然の病気のとき、どの保険会社に加入しているかで、病院が指定されることもありますし、保険でカバーされる医療の範囲もさまざまな制約があります。それに保険料が支払われなかったりして、保険に入れなかった人も4000万人もいるといわれています。
鈴木 それはちょっと不安ですね。その他、米国以外の国ではどうなっているのですか。たとえばヨーロッパなどは。
金田 日本と同様、「国民皆保険」になっている国もあります。フランスなどがそうですね。でも総じてわが国より保険料が高くなっています。比較的安くて、しかも自由に病院を選ぶことができる、これは日本の医療制度が世界に誇ってもいい点だと思いますよ。
北野 世界的に見ても、日本の制度が優れているということですね。
金田 そうです。意外に知られていないことかもしれませんが、世界保健機関(WHO)による各国保険の医療制度の評価のなかで、わが国は総合評価でトップなんです。世界に自慢できる制度なのですから、さらなる改善を図りながら、ぜひとも維持していきたいと考えています。
鈴木 なるほど。世界一のシステムを維持していくためには、今回の医療費負担の引き上げも仕方ないということで、何となく納得できます。もちろん、これ以上の引き上げは行わないという前提ですが。

Q 会社員時代に無料だった人間ドック。なぜ自営業はかかるの?
A 人間ドックにかかるお金は病気を治すためのものではないからです。


内沼 独立する前は会社員だったのですが、年に1回無料で人間ドックを利用しました。それが、自営業になるとなぜお金がかかるのですか。
金田 医療保険制度というのは、対象を病気やケガとする医療費です。人間ドックは病気ではないので、対象になりません。あくまでも予防ですから、自分でご負担していただかざるを得ないのです。
内沼 でも、予防で病気が少なくなれば、その分医療費を削減できるはず。何とかなりませんか。
金田 長い目で見ればそうかもしれませんが、現実的には人間ドックまで保険でカバーするとなれば、保険財政がいっそう厳しくなります。保険料引上げの要因になりかねないのです。
北野 う〜ん。それは困りますね。仕方ないか。
金田 定期検診などにお金がかかっても、結果的には皆さんご自身も、将来の医療費負担を減らすことにつながるはずです。多少お金がかかっても、ぜひ定期的に検査してもらってください。

Q 小児科医が減っているのが将来心配です。
A 小児医療充実のため、小児医療の診療報酬を引上げるなどの策をとっています。


鈴木 小児科医が減っているとか。いずれ結婚して子どもができたときの医療が心配です。
金田 そういわれていますが、実は小児科医自体は増えているのです。ただほかの科目に比べると伸び悩んでいるのは事実です。
鈴木 子どもは夜中に突然具合が悪くなったりすることが多く、小児科医の仕事はキツイと聞いています。ある程度の配慮が必要なのでは。
金田 それなりの処遇は必要でしょうね。そのために、今回の診療報酬体系の見直しにあたっても、全体としては報酬を引き下げていますが、小児科だけは一部引き上げています。
内沼 これは小児科だけの問題ではありませんが、新聞などで医療事故が増えているのが気になります。その点の対策はいかがですか。
金田 たしかに、最近は医療事故が増えているように思います。医療機関への指導やチェック体制を充実させるとともに、専門家による苦情処理体制の充実も考えています。問題が起きたときに、皆さんが安心して相談できる機関を都道府県、政令指定都市単位で配置することを検討しています。

Q 日本の医師の数は足りてるのですか?
A 大都市と地方のバラツキが問題です。


北野 現在の日本の医師の数は十分足りているのですか。世界的にみてどうでしょうか。
金田 年間の医学生の卒業数は7000人で、世界的にみても決して少ないということはありません。ただ、医師の多くが大都市に集中して、地方、特に過疎地では極端に不足しています。このバラツキを改善しなければなりません。
鈴木 病院のベッドの数はどうなのでしょうか。
金田 人口1000人当たりの病床数をみると、日本は13.1で、米国は3.7です。一方100床当たりの医師数をみると、日本は12.5人で、米国は71.6人。日本は病床数は多いけれど、その分病床当たりの医師数が少ないわけです。
北野 そうすると、きめ細かな医療を行えないのでは。
金田 日本では入院期間が長いのが問題なのです。本来は退院できるのに、帰るところがないので入院している、いわゆる「社会的入院」の問題があります。また、同じ病気でも米国あたりに比べると入院日数が長いという問題もあります。
内沼 最近は日帰り手術などで入院期間を短縮しようとする病院もあるように聞いています。
金田 それは、医療機関の体制整備と家族の理解が欠かせません。さまざまな面を改革して、医療の効率化を図っていく必要があるでしょう。
鈴木 これからの取り組みを教えて下さい。
金田 医療制度においては、世代を超えて支え合うという考え方が大切です。これからも医療制度の改革を図って、いっそう安心して生活できる社会にする努力を続けますので、皆さんのご理解、ご協力をぜひお願いしたいと思います。本日はどうもありがというございました。

○ クリックを終えて

内沼 世界一の医療保険をもっとPRを
日本の保健医療制度が、WHOで世界一と認定されていることは、まったく知りませんでした。他の国の保健医療制度も含めて、政府や自民党はもっとその点をPRしたほうがいいのじゃないですか。そうすれば、今回の医療費負担や保険料の引上げへの納得度も高まると思いますよ。
北野 制度改善への負担増に納得
私は会社員なので、医療費負担が3割に上がるということで、またお金がかかるのかと実は怒っていたのです。でも、いろいろ聞いてみると現在の医療を守り、よりよいものにしていくために仕方のないことなのだということが分かりました。それに絶対にこれ以上は上げないということですし、多少は安心することができました。
鈴木 医療保険制度に強い関心を
いまの医療保険制度をごく当たり前のこととして、あまり深く考えることはありませんでした。でも、それでは問題意識はでてきませんよね。今回の改革についても、自分たちの身近な問題として、もっと強い関心を持ってみていく必要があると痛感しました。

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