週刊『社会保障』11/11号 「インタビューこの人に聞く」より
◇円満・公正な運営に努める
本誌 参議院厚生労働委員長に就任されたご感想から伺います。
金田勝年参議院厚生労働委員長 当面する社会保障の諸課題への対応が迫られる重要な局面のなか、昨年秋から自民党の厚生労働部会長として、政策決定の責任者という立場で仕事をさせていただいできた。特に、昨年から今年にかけては医療制度改革という大きなテーマがあったほか、年金、介護・福祉、少子化、そして雇用・失業対策や食の安全対策に至るまで、各般の課題が山積し、極めて忙しい日々を送ってきた。これらのことは、非常に思い出深く、まさに充実した一年間であったが、引き続いて参議院厚生労働委員長として構成労働行政関係の課題に取り組むことができるのは、継続性の面からも感謝しているし、身の引き締まる思いである。
社会保障制度は、医療、年金、介護等のどれをとっても国民の安心や生活の安定に直結する分野であり、国民一人ひとりが自分の人生を充実させるために最も重要な分野であり、委員長として、新たな気持ちで全力をあげて取り組んでいきたい。
本誌 法案審議をはじめ、臨時国会における委員会運営等についてお聞きします。
金田委員長 臨時国会で当委員会関係の法案は、通常国会から継続となっている議員提案の社会保険労務士法の一部改正法案や、母子及び寡婦福祉法の一部改正案、独立行政法人国立病院機構法案、さらに共管法案も含め五法案が予定されている。このほか、今臨時国会に提出された独立行政法人福祉医療機構法案をはじめとする厚生労働省所管の特殊法人等改革関連の九法案については、参議院では、当委員会で審議することになるものと受け止めている。臨時国会の会期は12月13日まであり、衆院の審議状況等を十分に見極め、調整しながら、できるだけ中身の濃い議論を行い、丁寧に法案を仕上げていきたい。このため、委員長としては、与野党が十分に議論を尽くせるよう、円満で公正な運営に努めていきたい。
本誌 社会保障構造改革に対するご所見を伺います。
金田委員長 わが国は急速に少子高齢化が進展しているが、そのなかで社会保障制度については、持続可能で安定的・効率的な制度として、国民に信頼される形で維持していかなければならない。そのためには、改革の道筋を示したうえで、国民に開かれた形で十分な議論を行い、そして国民の理解と協力を得ながら、給付と負担の見直しをはじめとする社会保障制度の再構築に努めるべきとの基本的な考え方を持っている。
改革を進めるにあたっては、@健康寿命を延ばして高齢期を元気で過ごせる社会、A安心して子供を生み育てることができる社会、B年齢や性別、障害の有無に関わらず能力を十分に発揮できる社会の実現を目指すべきである。
このため、一つ目には、健康づくりや持続可能な高齢者医療制度の見直しを踏まえたあるべき医療の姿を総合的な政策として組み立てていかなければならない。二つ目には、男女ともに子育てと仕事が両立できるような総合的な少子化対策を進めていく必要がある。そして、三つ目には、意欲に応じて働き、年金との組合せで豊かな生活が送れることが大切であり、これらの分野を包含する社会保障制度のあり方をしっかりと位置づける大事な時期でもあると思っている。
◇国民皆保険制度当を堅持
本誌 個別分野のうち、まず、医療制度改革と介護保険制度についてお聞きします。
金田委員長 国民誰もが安心して医療を受けられる国民皆保険制度と、フリーアクセスといったわが国の誇るべき医療制度のメリットを将来にわたり堅持していく必要がある。そのために、これまでも医療制度改革を進めてきたが、なお抜本改革に取り組み必要がある。現在わが党では、新しい高齢者医療制度の創設等制度体系見直しや診療報酬体系見直しなど、五つの医療制度改革推進ワーキンググループを設置し、精力的な検討を続けている。年内にも各ワーキンググループの考え方をまとめ、政府の考え方ともすり合わせをしながら、今年度末までに医療制度改革の基本方針を策定するための努力を続けている。
介護保険制度については、来年4月から新しい事業計画の期間がスタートするが、介護サービス利用者の視点を踏まえ、さらによりよい制度とするために取り組んでいきたい。
本誌 年金制度改革について伺います。
金田委員長 基礎年金の国庫負担割合の引き上げなど個別課題も山積しているが、まずは、現役世代の年金制度に対する不安を払拭して、長期的に安定した制度を確立することが不可欠となっている。このため、平成16年の次期年金制度改革に向けて、改革の基本的方向と論点を明らかにしたうえで、国民的な議論も踏まえて、幅広い観点から精力的に検討を重ねていかなければならない。
本誌 少子化対策も重要な課題ですが。
金田委員長 社会保障制度の再構築を議論するときに、少子化の見通しが一段と厳しいことが憂慮されるが、少子化の流れを変えるためには、社会全体のより一層の取り組みが重要となる。そうしたなかで、厚労省が9月に「少子化対策プラスワン」を打ち出したが、わが国の最も重要な課題の一つとして議論を重ね、総合的な少子化対策を着実に実施する必要がある。
本誌 最後にご趣味について伺います。
金田委員長 まとまった時間さえあればゴルフや旅行。最近は、訪れた先で美しい風景を写真に撮ることも気に入っている。また、元来根っから明るい性格なので、大勢の人たちと明るく元気に騒ぎながら、楽しく語り合ったり、カラオケを楽しんだりすることが大好きである。特にお祭りが好きで、地元・秋では、各地域のお祭りに、できる限り参加することを自分の個人的な楽しみにしている。 |