出産一時金増額の方針 〜〜厚労省、来秋にも健保改革〜〜
一人に5万〜10万円
厚生労働省は少子化対策のひとつとして、公的医療保険から給付される「出産育児一時金」(子ども一人につき30万円)を、5万から10万円ほど増額させる方針を固めた。来年の通常国会に提出する医療制度改革関連法案に、健康保険法や国民健康保険法の改正案を盛り込み、早ければ06年秋にも実施したい考えだ。
一時金の増額は、自民党厚生労働部会の子育て支援対策小委員会(金田勝年委員長)が22日にまとめた支援対策に盛り込まれたほか、公明党も要望していた。
経済界からも多角的な少子化対策を求める声が強く、厚労省で検討をしていた。
出産一時金は、政府管掌健康保険や組合健康保険などの公的医療保険の加入者本人や配偶者が出産後に申請すると、30万円が給付される。帝王切開などの場合を除き保険が適用されない出産費用を補うのが目的。24万円だった「助産費」を94年に改め、金額も30万円に引き上げられた。双子なら2人分もらえる。
支給は政令などで定めているが、独自に数万〜十数万円を上乗せして給付している健保組合もある。
中小企業の会社員らが加入する政管健保(加入者約3600万人)の場合、02年度の給付件数は42万件で、約1260億円が支給された。大企業会社員の健保組合(加入者約3千万人)は同年度で38万件、約1150億円だった。
国保からの支給額は、保険の運用主体である市町村が条例や規約で定めており、自体ごとに異なる。厚労省によると、現在30万円を下回っている例はほとんどなく、政管健保や組合健保と同様に増額するよう指導するとみられる。
計数百億円規模とみられる増額分は各保険財政から支出することになる。このため、厚労省は他の給付の見直しも同時に進めており、具体的な増額幅や圧縮分野などは今後詰める。
さらに、自民党小委員会がまとめた支援策には、医師不足が問題となっている小児科・産科医療の診療報酬を手厚くすることや、児童手当の対象年齢の拡大、給付額の増額なども盛り込まれており、厚労省は実現できるものがあるかどうか検討する考えだ。
少子化対策としては、独自に出産奨励金などを出している自治体が多いほか、海外ではドイツ、フランスなど医療保険から出産費用を給付している例がある。
日本人女性一人が産む子どもの平均数を示す04年の「合計特殊出生率」は
1.29。過去最低だった前年並みの水準で、少子化に歯止めはかかっていないため、政府は来年度予算の中でも少子化対策に取り組む方針だ。
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