H18.4.20 毎日新聞
日本で忘れかけた話が、ここ中国でよみがえることがある。 李肇星外相は13日、訪中した金田勝年・副大臣に「日本人監督が中国の女子バレーボールの強化に協力してくれた思い出を決して忘れない」と語った。40余年前、「おれについて来い」という流行語を生んだ「鬼の大松」を指したのだろう。 故大松博文さんは65年春、中国で代表チームを指導した。東京五輪で「東洋の魔女」日本女子チームを率い、優勝した直後のことだ。中国でもスパルタ式で鍛え、のちに世界の頂点に立つ礎を築いた。小泉純一郎首相の靖国神社参拝に、強烈批判を繰り返す李外相もまだ大学に在籍していた。 今月2日には56年の世界卓球選手権(東京)に出場した日中両国のかつての名選手たちが北京に集った。半世紀ぶりのピンポン交流は、中国全土でテレビ放映された。 なるほど。「古い友人」大切にし、「水を飲む時は井戸を掘った人を忘れない」中国ならではだが、二つの出来事に共通するキーワードは「スポーツ」「国交正常化前」である。 メンツと原則が絡み、日中間の政治関係は凍るが、中国とて改善したい。遠い昔には民間交流が政治を後押しした歴史がある。そうだ、よい手本があるではないかと、共産党中央がスポーツ交流の重要性を再強調するよう指示しているのだろう。国家でチームプレーを演じている。
原点回帰は厳しい現実の裏返しでもある。懐かしがってばかりはいられない。中国が上げたボールをどうつないでいくか。受ける日本が考える番だと思う。(中国総局)
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