金田副大臣は、8月29日〜9月1日ウィーン・ロシア(モスクワ・ウラジオストク)・スウェーデン
を訪問した。
1.ウィーン訪問(8/29)
8月29日、金田副大臣はウィーンを訪問し、エルバラダイIAEA事務局長及びヴィンクラー・
オーストリア外務閣外大臣と会談をおこなった。
@.エルバラダイIAEA事務局長との会談
(全般)
◇ 金田副大臣より、エルバラダイ事務局長の指導の下でIAEAが国際的な核不拡散体制の
維持・強化に貢献してきたことに対する評価を伝達。イラン・北朝鮮の核問題につき、ハイ
レベルで突っ込んだ意見交換をした。
★概要
(イランの核問題)
◇ イランの核問題については、金田副大臣より、
イランが安保理決議1696に従い、速やかに
全ての濃縮関連・再処理活動を停止し、交渉の
テーブルに戻ることを働きかけていくことが重要
との考えを伝達。
エルバラダイ事務局長からは、今後数週間の
対応が重要、北朝鮮のようなNPTからの脱退
宣言やIAEA査察官の追放といった事態をまね
かないよう注意深く対応する必要がある、国際
政治上、イランが濃縮関連活動を完全に停止す
ることは困難と思われるが、国際社会はイラン
に核兵器の開発を許してはならないことでは一
致している旨発言。
(北朝鮮の核問題)
◇ 北朝鮮の核問題については、金田副大臣より、
安保理決議1695の着実な実施の重要性、本
件の解決に向けた国際的な取り組みにおいて
IAEAも引き続き重要な役割を果たしていくこと
への期待を伝達。
エルバラダイ事務局長からは、六者会合を通
じた対話の枠組みによる解決が重要である旨
発言。
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8月31日のエルバラダイ事務局長の対イラン核問題報告書を前に、会談に関する関心は高く。
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A.ヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣との会談
◇ 金田副大臣は、ヴィンクラー外務閣外大臣との会談において、両国間の良好な友好関係を
再確認するとともに、2009年の日・オーストリア外交関係樹立140周年に向けて、今後の
協力について両国間で検討していくことで一致した。 ★概要
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ヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣との会談
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2.ロシア訪問(モスクワ8/30、ウラジオストク9/1)
金田副大臣は8月30日、9月1日、ロシアを訪問し、8月30日、モスクワでキリエンコ・ロシア
連邦原子力局長官、ラブロフ外務大臣と会談。
9月1日は、ボリショイ・カーメニ市(ウラジオストク郊外)のズヴェズダ造船所(原潜解体現場)
を視察した。
@.キリエンコ・ロシア連邦原子力局長官との会談(8/30 午前10時15分)
(原潜解体事業への協力)
◇ 金田副大臣より、わが国のロシア退役原子力潜水艦解体協力事業「希望の星」について、
核不拡散及び日本海海域の環境保全という事業の意義を再確認するとともに、事業の現
状について評価を述べた。併せて、国民への説明責任が重要であるという観点から、財政
事情が厳しくなっている等の状況で、これかの協力を円滑に進めるためには双方が努力を
継続することが必要であると述べた。
◇ これに対し、キリエンコ長官より、退役原潜については、もとよりロシア自身で7割以上を解
体してきているが、極東及び北西地域においては国際的な支援・協力を得ている。
その上で、日本の協力にも高い評価をしている、今後も同事業が国民の理解を得つつ進
められることが重要である、との見解を示した。また、日本側からの要請に対する前向きな
回答に併せ、今後のマスター・プランを策定していく旨の発言があった。
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キリエンコ・ロシア連邦原子力局長官(元首相)との会談
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キリエンコ長官との会談後記者団に囲まれる金田副大臣
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A.ラブロフ外務大臣との会談(8/30 午後1時)
会談の概要
(1) 金田副大臣より、初めに午前中の
キリエンコ連邦原子力局長官との
会談の報告の後、8月16日の日本
漁船に対する銃撃・拿捕事件に関す
る日本の立場を改めて申し入れた
上で、概要以下の通り発言。
(イ) 8月28日の麻生大臣とラブロフ大
臣との電話外相会談でのやり取り
を踏まえ、同30日、2名の乗組員
の引渡しが実現したことにつきロシ
ア側の尽力を評価する。
(ロ) 日ロ関係に悪影響を及ぼさないた
めにも、改めて船長及び船体の速
やかな解放を求める。
(ハ) 漁業協力に関する既存の協定・枠組みについては、これらの協定・枠組みを堅持
し、その下で安全かつ安定的な操業を行うために双方で努力していくべきだ。
(ニ) 以上を実現することが、平和条約交渉を含め幅広い分野における協力を引き続き
発展させること資し、日露双方の利益に合致する。
(ホ) また、8月27日の日本漁船による「ロシア海域」侵犯に関しロシア外務省日本側に
抗議していた件について、日本側の調査結果を示し、ロシア側による事実関係の確
認を求めた。
(2)これに対し、ラブロフ大臣より、概要以下の通り述べた。
(イ) 亡くなった乗組員に対して改めて遺憾と哀悼の意を表明する。
(ロ) ロシア側としても人道的観点から尽力し、乗組員2名の引渡しをおこなった。
(ハ) 今般の事件については、船長にその責任がある。
(ニ) 漁業分野を含めあらゆる分野で日本との関係を進展させたい。
(ホ) また、上記(1)-(ホ)の金田副大臣からの求めに対しては、ロシア側の事実誤認で
あり、ロシア側としても漁船が合法的に操業していたことを認めた。
(へ) なお、ロシアの現役原潜解体に対する日本の協力に対し、これを高く評価する旨の
発言があった。
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ラブロフ外相との会談後、ロシア外務省前で。厳しい表情で
記者の質問に応じる
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B.ズヴェズダ造船所視察(9/1)
金田副大臣は、9月1日午後5時30分(日本時間午後3時30分)より、ボリショイ・カーメニ
市(ウラジオストク郊外)にあるズヴェズダ造船所を訪問し、原潜解体の現場を視察した。
なお、モスクワの連邦原子力局と、解体作業現場であるズヴェズダ造船所の両方を訪問し
たのは、外務省の政治レベルとしては初めてのことである。
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原潜解体現場視察 |
低レベル液体放射性廃棄物処理施設視察
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3.レバノン国際支援国会議出席(8/31)
金田副大臣は、8月31日、スウェーデンのストックホルムにて開催されたレバノン国際会議
(50の国と地域の代表が参加)に、日本政府の代表として出席し、スピーチを行った。
★概要
なお、午前の開会に先立ち、先方の要請に応じて韓国のユ・ミョンファン外交通商部第一次官
と2国間会談を行った。
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開会に先立ち、先方の要請に応じユ・ミョンファン韓国外交通商部
第一次官と会談
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4.その他
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ウイーンはニューヨーク・ジュネーブと並び国連機関が集中する都市。
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モスクワにて日本及び日本語に対する理解を深めるべく、日本の支援で設立された日本センターを視察。
正しい理解と、好日感情の醸成に資することがもっとも重要であることを再確認。
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ウラジオストクにて最終日の午前中、環日本海文化交流の観点から
極東大学学長を表敬訪問。
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